丹沢・伊豆の変動する大地の探求者
   か ど た まさひと
   門田真人 先生の部屋
  元 東海大学付属相模高等学校教諭
 神奈川県立生命の星地球博物館 外来研究員
 神奈川地学会 会長 

     
     横浜自然史博物館.Virtual Home


ビデオ「丹沢の化石サンゴ礁」から

丹沢枕状溶岩磨き隊! 2013 

写真解説ページ   
写真 写真記録班 飯島俊幸 先生 文 鷲山

「お正月の1月4日に、丹沢の谷底で溶岩を磨くって???どういうことですか?
世の中には不思議なことをする人たちがいるものですね。想像を絶します!」
と、不思議がられるのも当然ですね。
しかし、丹沢に深い海底から吹き出した溶岩の地層があることこそ、
想像を絶する「神奈川県の大地の始まり」を語る証拠なのです。
NEW! 2013年3月公開
丹沢枕状溶岩磨き隊!ビデオスタート
(枕状溶岩解説付き9分)

枕状溶岩とは、海底に吹き出して
表面から急冷して丸く固まった溶岩の地層

 

     丹沢枕状溶岩磨き隊!(枕状溶岩解説付き9分)
 神奈川県の屋根、丹沢山地では、大量の海底火山噴出物と、サンゴオウムガイなど南方系の生物化石が出てくる神秘の山。また、それは現在進行形で動き続ける神奈川県、南関東を象徴するものでもあります。大量の海底火山噴出物は、「凝灰岩」などの姿として大量に存在しますが、玄武岩などの溶岩がある条件で海中に流れ出ると、「枕状溶岩」という姿で見ることができます。

 丹沢からは、大量の凝灰岩の中に枕状溶岩の地層も発見され、最高峰「蛭ヶ岳」付近の標高1300m地点で発見された最古の枕状溶岩(1600万年前)の地層は、ビデオ「丹沢枕状溶岩探検隊」で紹介しています。

 今回「枕状溶岩磨き隊」が向かうのは、宮ヶ瀬ビジタセンターから4km深部。1400万年前と推定され、丹沢で発見された枕状溶岩の地層としては最新にして露頭の規模は85mと最大規模。しかも道路下で観察しやすい。
「落ち葉と苔に覆われたこの貴重な枕状溶岩露頭を磨きたい!」
 門田先生の呼びかけに応え、様々な専門性をもつ仲間が結集。2013年正月の1月4日にそれは決行されました。感動のドキュメンタリー映像。
 

神奈川県の誕生は、南の火山島群であった丹沢山地が「衝突」することから始まっていきます。(右図 資料提供:平塚市博物館)


作業開始!落ち葉を落とし、苔を削り、磨き隊!の作業は展開された。
枕状溶岩露頭主要部

完全なる玄武岩の塊。

台風による川の浸食で門田先生らに発見された。
年代は1400万年前とされ、蛭ヶ岳1300m地点のものが1700万年前とされていたのに対してかなり新しいことになる。
 ここには映っていない高所作業エリアも含めれば露頭幅は85mと、計測係が測定。

 丹沢では今のところ、最も新しく、最も規模の大きな枕状溶岩露頭とされた。

主要部作業風景
〜墓石掃除と同じ?〜

落ち葉や苔を取り払う作業は、お彼岸のときの「墓石掃除」と同じだ。

「細石の巌となりて 苔のむすまで」ならぬ、

「枕状溶岩の山に上りて 苔のむすまで」

 1400万年の旅を経て、南方の海底噴火が日本列島のど真ん中の山の中から姿を見せている、すごいドラマを語っている地層である。

 
急斜面の露頭は、高度な登山技術をもったメンバーの仕事。スパイダーマンのように、平気でザイルを使いこなす人々だ。
枕状溶岩のサンプル採取

岩を割ったり、動かしたりする専門知識と怪力の持ち主の出番。

小さく割っても、150kgはありそうなサンプルを割り取り、30m上の道路までみんなで運ぶのだ。

150kgの枕状溶岩が運び上げ途中に落下したら命にかかわる。

脚立に慎重に固定して、大勢の力で運び上げた。


2013年 丹沢枕状溶岩磨き隊! (写真班 飯島俊幸先生と鷲山はカメラをもって撮影中)


見事にピカピカになった枕状溶岩の巨大露頭 (門田先生撮影)
  
食糧班による「枕状溶岩鍋」で憩いのランチタイム
  

丹沢は南の海底で生まれ、日本列島までやってきた    昨年の枕状溶岩磨き隊!2012(丹沢湖近く)