神奈川県・横浜市地層写真集

 三浦半島荒崎の三浦層群をおおう関東ローム層
  〜「不整合」の教材に最適〜

地層名 上: 関東ローム層(新期ローム層)
    下: 三浦層群・三崎層
所在地 横須賀市 
年代  上: 6000年前以降(推定)この地域の隆起量からして、もっと新しい可能性大
    下: 1000万年前後前(中新成〜更新世と言われる時代)
説 明 
 荒崎のハイキングコースを水産試験場側から歩いていくとすぐに見ることができる地層。下の地層はこのあたり一帯に露出している三浦層群で、500万年以上前の深海底に堆積した砂・泥・火山からの噴出物でできている地層ですが、その上を富士・箱根からの火山灰であるローム層がおおっています。
 つまり、この二つの地層は全く出来方も年代もちがうわけです。
 また、注目してほしいのは、下の地層が斜めになっているのに、その上の地層は水平につもっていますね。
 なぜこんなことが起きるのでしょう?
 下の(三浦層群)はこのあたりがまだ深海で、(三浦半島などというものは形もなく)堆積した後、大きな地殻変動を繰り返して海面に姿を現し、やがて三浦半島となってきました。ローム層の下の面が水平にすぱっと切れているのは、(こんなに固い地層なのに)この面が海面ぎりぎりだった時代に、波が削っていた面です。やがて地殻変動で隆起を繰り返して海面から離れ、その上に富士・箱根という新しい火山の火山灰が降り積もっていったのです。
 連続的に水平につもっていく地層を「整合」と言います。
 一度全く異なる現象があって、年代の連続していない地層が積もっていくことを「不整合」と言います。
 この地層はその「不整合」の分かりやすい例です。

現状について

 現状でもこの通り観察できる。

※地層の路頭は大切は自然の遺産です。所有者・管理者の許可を得て入りましょう。化石はむやみに採取してはいけません。大切にみんなで観察しましょう。

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 関東大地震で露出した海食台

 このあたり一帯は、三浦層群が露出していますが、まるで洗濯板のような海岸となっています。この洗濯板は、上の地層で見られたように、もともと水平に積もったものが、地殻変動を繰り返しながら、傾いていったもの。
 一般に古い地層ほど傾きが激しくなっていきます。三浦半島には、ほとんど90度も傾いてしまったような地層がよく教科書にも紹介されています。
 また、この「洗濯板」ですが、80年前の関東大地震で一度に1mも隆起したものです。それまではほとんど海面ぎりぎりで、波によって削られていた「海食台」であったはず。
 関東南部の地殻変動の激しさを語る地形です。

地図
地図

案内

荒崎は地形・海岸動物ともに豊かな観察の場です。
ハイキングコースにもなっていますので、ご家族で是非行ってみましょう。